Inflation of Strength

「力のインフレ」について。
バトル物で話を盛り上げたければ強敵(「とも」と読む)の存在が必要だし、
それを倒した後も話を引っ張ろうとすれば、より強い敵が現れる展開になる。
人気が無ければどんな作品でも打ち切り、
人気があればどんな作品でも続けさせるジャンプの方針だと必然的にそういう展開になり、
結果、「強さ」の描写は際限無く上昇する。
これを「力のインフレ」と言う。


大きく「DRAGON BALL」以前(「北斗の拳」「キン肉マン」「聖闘士星矢」など)と、
以後(「ONE PIECE」「BLEACH」「NARUTO」など)に分けると、
ほとんど何でもありの前者に比べ、後者は強さの序列が非常にはっきりしていて、
このインフレが分かりやすい。
例えば、「北斗の拳」の初期にカイオウが出ても、もしかしたら勝てたかもしれないが、
DRAGON BALL」の初期にベジータが襲来してたら何をどうやっても勝てないと思われる。
逆に、セル編で登場した自称地上最強のミスターサタンはかませ犬にすらならない。
(ちなみに、ミスターサタンはショットガンを持った一般人より強い)


DRAGON BALL」はその手法を完成させた最初の傑作だからまあいいとして、
問題は、その後の作品もこの手法じゃないと分かりやすさが出せないという事だ。
連載が長引くほど、「とりあえず技の名前を叫べば勝ち」というのでは通用しにくくなる。
シャーマンキング」は完全に破綻して打ち切られた。
この辺可能な限り上手く処理している「HUNTER×HUNTER」ですらとっくに息切れしている。
BLEACH」は既に破綻しているんだけど、まだまだ続ける気らしい。
卍解の乱発はスーパーサイヤ人の乱発を思わせる。
ONE PIECE」は寄り道ばかりしてたけど、最近本筋に入ってインフレを起こし始めた。
NARUTO」は能力バトル方式で耐えてるけど、血継限界を乱発してるし、
その内「限界を超えた血継限界」とか出かねない。


自分もバトル物は好きだが、いい加減この方式は才能をすり減らし過ぎるのでやめるべき。
鳥山明ももう描かなくなってるし。