Final Lieutenant

「和製コロンボ」と呼ばれる「古畑任三郎」シリーズが、
3夜連続の「古畑任三郎ファイナル」をもって完結した。
http://www.fujitv.co.jp/furuhata/
続編はもう作らないらしい。
異常に若く見えるとは言え、主演の田村正和も今年で63歳。
全く衰えないまま、少しもイメージを損わないまま話を終えた。


今更説明の必要も無いほど有名なこの作品。
シチュエーション・コメディの第一人者、三谷幸喜らしさが随所に出ており、
田村正和の個性的でスタイリッシュな演技とともに、
テレビドラマ史上に残る傑作として語り継がれている。
12年間で、3シリーズ、SP8回、総集編1回の全42話。
その最後を締めくくる3話は、期待に違わぬ素晴らしいものだった。


<以下ネタバレあり>


第1夜、ゲストは藤原竜也石坂浩二
見所は「完璧な殺人計画」。
仮に失敗しても全くリスクが無いという意味で完璧
てっきりトリックが完璧なんだろうと思っていて、
そのトリックが次々と見破られる展開に疑問を感じていたが、最後に氷解。そして感動。
完璧過ぎるためになかなか使いにくい題材で、たぶんずっと暖めていたんだろう。
最後の最後に持って来た。


第2夜、ゲストイチローで、イチロー本人の役。
最後に来て初めて(広い意味で)役者でない人が犯人を演じる。
問題の演技だが、さすが堂々としたもので、イチローらしい振る舞いを見せていた。
見所は「イチローにしかできない犯罪」。
「レーザービーム」と称される世界一の肩と俊足をいかんなく発揮したトリック
そして、野球選手としてのイメージそのままのフェアプレー精神。
普通なら「犯人」としては失格だが、それを上手く逆手に取って、
皆が応援したくなる「カッコイイ犯人」を描く事に成功した。


第3夜、ゲストは松嶋奈々子。「メガネ3割増」の法則。
ある意味第1夜と同じトリックで、加害者が実は被害者だったという話。
今回は伏線をあからさまに出していて、トリックを見せるというよりも、
哀しいストーリーを前面に出している。そこが見所。
「これで最終回」という演出は無く、美しくも哀しいストーリーで静かに幕を閉じる。
まだ続くような、でも終わるような、不思議な余韻が残る。